子供の暴力

► 子供のストレス


こんなお話があります。

一目で上質と解る服装のご夫婦が、男の子を連れてカウンセリングにやって来ました。
その子は一見して大人しそうで、口数が少なく、暗いイメージの子でした。
ご両親からお話を聞くと、家の中で暴力を振るうというのです。
(大人しく見えるのに、どうして?)

学校では、どうですか?とお聞きしました。
「学校内の事は先生にしっかりお願いしているので大丈夫だと思います。」
というお返事でした。

家庭内だけで、暴力的?
それはどんな時ですか?
「突然、物を投げてくるので、家具も壁の絵やいろいろな物がめちゃめちゃです。叫びながら叩いて来たりするし、主人も私も困っています。手に負えないので何とかしていただけないでしょうか?」

理由もなくそんな事はしないと思いますけど、本人から聞いてみましたか?
「どんな理由があるにせよ、モノに当たるのはいけない事です!と言い聞かせても治らないんです。」

(この子がそういう事をする理由をちゃんと聞いてないのか?!)
その時、ご主人がこんな発言されました。
「この子には、期待して随分手を掛けてきましたけど、このままでは一流にはなれないし、家の恥になると考えています。」

(お?家の恥ですか?)
(自分の子供は心配じゃないのか?)

► 向き合えない親達


ちょっと深刻そうですよ。
彼と、個人的にお話しする事、守秘義務があるので、ご両親でも内容は明かせない事。などを納得していただきました。

後日、こちらから彼の指定の場所に出向く事になりました。
最初はほとんど何も話さなかった男の子は、ご両親には私と話した事は一切漏らさない!守秘義務ってヤツ(^ν^)と言いながら

「よく合ってくれたね。ありがとう!私は君の味方です。」
「今までよく我慢したね。」と言いながら笑ってみました。
私が笑ったら少し微笑んでくれました。

最初は、なかなか心を開いてくれなくて悪戦苦闘。


そして、、いろいろ分かりました。

しかし、少年の心の傷は深く、ご両親には理解してもらえないかもしれないという事が分かりました。

(要は、彼には心は行き場を失くしてしまっていたのです。)


ご両親の期待と自分のしたい事が全く違う、言葉にしても上手く伝えられない、もう自分には何の期待もされていない、などなど。

この時期の子供たちは、感受性が強くデリケート。
親の何気ない一言で傷ついてしまうことがあるのです。

しかもこのご両親は、彼の心の傷より自分たちの立場や体裁が大切なようです。
  
しばらくして、ご両親から連絡があり、彼がカウンセリングに通っている間も家庭内での
暴力があったらしく、「カウンセリングは中止にしたい。」と連絡がありました。

どうしたものか。。。と考えあぐねていました。
結果、少年が大好きな祖母と暮らす事になったそうです。

正しい事だと思い込み、子供に押し付け、追い込んでしまって、傷付けてしまった。
しかも傷付けている事に気が付かない、認めたくないない、
自分たちの都合の方を優先した。という事でしょうか。


今回つくづく感じたのは、本当にカウンセリングが必要な人は、

気が付いていないから、自らカウンセリングを受けないって事ですね。


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